徒然CURIOSISM

同人サークル「CURIOSIST」主宰・朝森久弥の雑文の集合体です。

「マンガ論争」をオナニーで終わらせないために。

 昨日の続き。
 Comic1☆3終了後の「マンガ論争勃発発売記念トークライブ」を聞いての感想及び、それに伴って生じた私の妄想について。


 Comic1☆3の終了宣言から15分後、会場の片付けもそこそこに、東5ホールと6ホールの間に長机が設けられ、永山薫昼間たかし市川孝一らがそこに座り、30分限定のトークライブが始まった。
 聞き入るのは、選りすぐりのComic1☆3参加者たち。数十人から百人といったところか。

 冒頭に、彼らの著書「マンガ論争勃発」の宣伝がなされた。既に買った人に挙手を求めた後、「トークライブ中でもいいから前に出てきて買いに来てくれ」とのこと。この数分後、実際に買った人がいて周囲から拍手が起こっていた。*1

 さて、このトークライブでは時間制限もあったために本当にさわりの部分しか取り上げられなかったが、要は「最近、漫画界隈・同人界隈の雲行き、怪しいんでねぇの?」という問題提起であった。

 彼らが特に懸念している点は、
児童ポルノ法改悪問題」である。
 つまり、二次元が描かれた創作物であっても、それが児童ポルノとみなされた場合、それを単純所持することが規制されるかも?というお話。*2

 ―二次元児童ポルノの単純所持規制―もしこの規制が現実のものとなったら、たとえば、児童(と、当局が解釈する)が登場するマンガで性的表現を含んだものはみな、所持することが出来なくなる可能性がある。厄介なのは「(と、当局が解釈する)」の部分で、これが恣意的に操作されてしまうと、マンガ描きの表現の自由を侵害しかねない。

 「いや、現行の児童ポルノ法でさえ、それによる摘発例は稀なのだから……」と主張する穏健派もいるが、マンガ界隈、というか同人界隈は、性的表現問題*3著作権問題・税金問題といった問題を孕んでおり、それらの問題が表面化しようものなら、一気に世の中がマンガ規制に動いてしまうのではないだろうか。そういう危うい土台で成り立っているのが、今の我々の世界。いつ当局に足元をすくわれるか油断できない。

 一番の問題は、このような懸念に対して、マンガ界隈・同人界隈の人たちの意識が低いということ。界隈もここまで大きくなると、様々な形で社会とも接点を持たなくてはならなくなる。それは即ち、個々人の表現が社会に対し相応の責任を持たなければならないことを意味する。
 今後の世の中で、我々の愛する世界を維持し続けるためには、我々の世界を世間に受け入れてもらわなければならないし、そのために努力を怠ってはならない。

 彼らの主張は概ね、上記の通りであると解釈した。
かくして、「5月15日19日に続き聞きたい人は来てねー」と宣伝を以てトークライブはお開きとなった。



 さて。


 とりあえず、私が彼ら(三氏及び彼らのトークを熱心に聴いていたお兄様方々)に抱いた第一印象、それは
学生運動の雰囲気出してるなー」
ということ。まぁ、歴史的背景からそうなるのは仕方が無いし、それ自体が別段悪いというわけじゃないんだけれども。

 うちの大学の某団体のように、日比谷でシュプレヒコールとまでは行かないにしろ、「創作物の規制/単純所持規制に反対する請願署名」なるものを数千筆以上集めて国会議員に送る、という活動などが、彼ら主導のもと現実に行なわれている。

 コミケットでもこの署名は行われていたけれども、私はどうも、署名する気になれなかった。もし最悪のシナリオになった場合、100冊以上のマンガと同人誌を手放さなければならない私が、どうして?


 だって、自分勝手で主観的な主張に過ぎないじゃないか。


 なるほど確かに、児童ポルノ法改悪を阻止することで、私たちの世界の安寧は続くかもしれない。「物語はフィクションです☆」と言っておけば、ょぅι゛ょが登場するエロマンガでも堂々と発行し続けることができるかもしれない。
 しかし、それを実現することの利益は、目下その程度である。
「いやいや、この規制を皮切りにあらゆる表現の自由が侵されてしまうのだ!だから俺は闘う!」
という人もそりゃいるだろうけど、署名をした大半の人たちが本当にそこまでの思いなのか。せいぜい、「今まで読めてたマンガが読めなくなるのはやだなぁ」程度では無いのか?


 あと、

児童ポルノ」を規制する主要な理由のひとつは「児童ポルノの商品にされてしまう児童を無くすこと」であり、たとえ二次元のおにゃのこをパンチラや裸にしたって誰にも害は及ばないじゃないか

という意見は、一見、児童ポルノ法改悪反対の有力な根拠になり得ると思いがちだが、現時点では、当事者らの言い分の域を出ない。

 まともな裏づけが無いのだ。
それこそ、科学的な手続きに基づいて
児童ポルノ(と解されそうな)二次元表現の好み具合と、児童に害をなす傾向の因果関係」
の調査結果を提示でもしない限り、相手を説得することは出来ない。
もっとも、そのような裏付けが無いからと言って、「ロリコン漫画読んでる奴は性犯罪起こしやすい」などと主張できる道理も全く無いのだが。

 つまり、「まともな裏づけ」が世間に現れない限り、この議論が「本当の意味」で解決するなんて、有り得ないのだ。

 そして、私がもっとも怖いのは、この問題が「偽の意味」で解決してしまうことだ。即ち、
「声のデカいヤツが勝ち」
という決着方法。政治の世界では割とまかり通っているようだが、要はヤクザの手法であり、もっとも幼稚な手法である。

方や、連日大量の抗議FAXを国会議員に送りつけて存在感をアピールするかと思えば、
方や、こんな請願を提出してみせる議員がいる。

あぁ、何という平行線な議論。お互いの言いたいことを言い合ってお互いに歩み寄る気は無いのだから、結論に至る気配が無いじゃないか!




 ……という訳で、私が最近「日本オタク文化とその愛好者の性質を科学的に解明したい」とほざいているのは、このような問題意識を持つように至ったからです。

 科学は映姫さまのように、物事に白黒はっきり付けることは出来ません。しかし、そのための適切な材料を与えることが出来ます。

 私は、そんな材料を提供する人になりたい。
 ……それまでは、永山氏・昼間氏・市川氏を始めとする皆さんに、何とか頑張って頂きたいものですw


 さて、院試勉強するか。

 それでは。

5/2:追記
「マンガ論争勃発」関連のトークライブの日付直しておきました。
恐らくこのイベントのことを指してるはずです。

*1:私は同人誌の買いすぎで予算オーバーゆえ、手が出せる状況になかったorz

*2:日本国において、三次元の児童ポルノは既に単純所持が規制されている)

*3:最近、局部の修正がいい加減になってきた的なことを話してた