徒然CURIOSISM

同人サークル「CURIOSIST」主宰・朝森久弥の雑文の集合体です。

2016参院選で野党がいかに絶望的か解説する

 私は元来データ分析大好きパーソンで、選挙の時期になると斜め上な分析記事を発信するのが習わしになっています。
Google検索件数で2013都議選の結果を予想してみた - 徒然CURIOSISM
Google検索件数とTwitterフォロワー数から2013参院選の結果を予想する - 徒然CURIOSISM


 ですが、今回の参院選戦後70年の中でも3本の指に入る歴史的な選挙になる気配があり、もはや遊んでいる場合ではない、真面目な記事を書こうと相成りました。
朝森久弥の中の人は、参政権を得てから一度も自民党候補に入れたことが無く、目下の支持政党は日本共産党です。
ただし、「憲法改正はしてもいいが、今の自民党に改正をリードされたくはない」というスタンスです。
そんなバイアスがかかっていることをご了承の上、以下の記事をご覧ください。

護憲勢力の勝敗ライン

 2016参院選は、アベノミクスの成否を占うということに表向きはなっていますが、憲法改正の発議ができる3分の2以上の議席を与党が確保するかどうかが焦点となっているのは明らかです。

日本国憲法
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

衆議院は現在、自民党公明党議席数で総議員の3分の2を超えています。そして、今回の参院選を終えて、参議院の総議員数242人のうち3分の2以上、すなわち162人以上憲法改正に賛成すれば、憲法改正の発議がなされる準備が整うということです。もっとも、憲法改正の発議がされても、その後の国民投票過半数の票を取らないと改正はできないのですが。
民進党が今回の参院選で掲げるところの「3分の2を取らせない」というのは、憲法改正に賛成する勢力(以下、改憲勢力)が参議院で162人を超えない程度に、参院選改憲勢力の当選を阻止しようということです。
このスローガンについては「弱気過ぎる」など多くの批判が集まっていますが、実のところ、憲法改正に反対する勢力(以下、護憲勢力)にとってはかなり高めの目標です。改憲勢力に3分の2を取らせないということは、言い換えると護憲勢力が3分の1以上、つまり81議席以上取るということ。しかし、今回の参院選で選挙に出ず引き続き議員を務める(非改選)護憲勢力が、わずか33議席しかありません。よって、今回の参院選護憲勢力が81-33=48議席以上取らないと、改憲勢力が3分の2を超えてアウト、ということになります。
この48議席という数字、護憲勢力の勝敗ラインとしてもっと注目されてもおかしくありません。というか、士気を高めるためには注目すべきだと思うんですがね……。


では、護憲勢力は2016参院選で48議席取れるのかと言うと、かなり厳しいと言わざるを得ません。
全統模試で言えばD判定です。
様々なマスコミが参院選の情勢調査を発表していますが、その中でも比較的「色が付いていない」報道機関と考えられる時事通信が、7月3日に発表したところによる調査結果に基づいて分析すると、改憲勢力が確実に取れる議席は30議席程度、現実的には40議席台前半という見込みになっています。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016070300207&g=pol
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016070300213&g=pol


選挙と言うのは、事前に勝敗がほぼ決している部分と、ギリギリまで勝敗が分からない部分があります。
前者にあまり力を注いでも仕方がないので、勝敗が分からない部分に注力するというのが、選挙の基本的な戦略です。
そこでこの記事では、現時点で勝敗が分からない部分をピックアップすることで、護憲勢力を支持したい人がどこの選挙区・比例区に注目すればよいかを明確にしていきたいと思います。

選挙区(1人区)の注目ポイント

上記の時事通信の記事に基づけば、現時点での情勢は次のようになっています。

地域 改憲勢力が有利 接戦 護憲勢力が有利
東北・関東 秋田 栃木 群馬 青森 福島 岩手 宮城 山形
中部・近畿 富山 石川 福井 岐阜 滋賀 奈良 和歌山 新潟 山梨 長野 三重
中国・四国・九州 鳥取・島根 岡山 山口 徳島・高知 香川 佐賀 長崎 熊本 宮崎 鹿児島 愛媛 大分 沖縄

改憲勢力自民党公明党・おおさか維新の会・幸福実現党
護憲勢力民進党共産党・無所属(野党推薦)

1人区の選挙区は32選挙区ありますが、圧倒的に改憲勢力が優勢です。とくに西にいくほど強い。
ただし、接戦と報じられている選挙区が8選挙区もあります。
青森 福島 新潟 山梨
長野 三重 愛媛 大分
48議席確保のためには、護憲勢力がこの8選挙区で5勝以上したいところです。
それらと、護憲勢力が有利な選挙区での4議席を足すと、1人区では9議席確保できることになります。

選挙区(複数人区)の注目ポイント

1人区と同様に情勢をまとめますと、

選挙区 定数 改憲勢力が確保 どちらも確保していない 護憲勢力が確保
東京 6 3 1 2
神奈川 4 2 1 1
愛知 4 2 0 2
大阪 4 3 1 0
北海道 3 1 1 1
埼玉 3 1 1 1
千葉 3 1 1 1
兵庫 3 2 1 0
福岡 3 2 0 1
茨城 2 1 0 1
静岡 2 1 0 1
京都 2 1 0 1
広島 2 1 0 1

改憲勢力自民党中西健治含む)・公明党・おおさか維新の会・日本のこころを大切にする党・幸福実現党
護憲勢力民進党共産党社民党・無所属(野党推薦)


改憲勢力護憲勢力のどちらも確保していない議席が残る選挙区が、注目ポイントです。具体的には、
東京都
…山添拓(共産)と小川敏夫民進)の2人が両方当選し、朝日健太郎(自民)か田中康夫(お維)のどちらかを落とせるか
神奈川県
…浅賀由香(共産)、真山勇一民進)、金子洋一(民進)の3人のうち、2人以上当選できるか
大阪府
…渡部結(共産)か尾立源幸民進)のどちらかが当選し、おおさか維新の会を当選者を1人に抑えられるか
北海道
徳永エリ民進)と鉢呂吉雄民進)の2人が、柿木克弘(自民)に勝てるか
埼玉県
…伊藤岳(共産)が、西田実仁(公明)に勝てるか
千葉県
小西洋之民進)か浅野史子(共産)のどちらかが元栄太一郎(自民)に勝てるか
兵庫県
水岡俊一民進)が伊藤孝江(公明)に勝てるか

以上ですべて護憲勢力が勝つと、護憲勢力7議席を積み増し、複数人区で合計20議席取れることになります。

比例区の注目ポイント

時事通信の情勢調査を見るに、比例区全48議席のうち、44議席は既に決まっているとみて良いでしょう。具体的には、
自民…17
公明…7
お維新…4
民進…11
共産…5
です。
残り4議席のうち、3議席以上護憲勢力が取りたいところです。
そうすれば、比例区では護憲勢力が合計19議席取れることになります。
なお、残り4議席を取れる可能性があるのは、
・自民の18議席
・お維新の5議席
民進の12議席
・共産の6議席
・社民の1議席
・生活の1議席
・支持なしの1議席
と考えられます。
比例区投票率(51%)が前回並みですと、比例区で1議席を確保するには約100万票が必要です。
100万票と言うと多いかもしれませんが、1億人いる有権者の1%に過ぎません。
投票率は選挙によって±10%くらいは変動していますから、投票率次第で、100万票なんてあっという間に動きます。とくに、無党派層の支持割合が多い政党にとっては……。

まとめ

条件1:1人区の選挙区で、接戦の8選挙区で5勝以上→9議席
条件2:複数人区の選挙区で、接戦の7選挙区をすべて制する→20議席
条件3比例区で、未確定な残り4議席中3議席を確保→19議席
条件1・2・3がすべて達成されれば、合計48議席護憲勢力の勝利


はい……かなり絶望的です。
個人的な見立てでは、条件1と条件3は五分五分かと思うのですが、条件2がネックだと思います。
とくに、あの千葉県で自民2人を阻止できたら奇跡で、まだ1人区接戦区で6勝する方が現実味があると思います。


私がこの記事でつらつら述べたようなことは、選挙の現場にいる人にはとうに既知のことだと思いますが、
普通に投票しようとする人がこれらに注目するか否かで、投票に対する意識も高まるのではないかと思います。
あと、やっぱり競っている選挙区を見る方が面白いですよね。


みなさんも、楽しい選挙ライフを!


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※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。