マイベストブック2021
2022年に入ったらすぐに書こうと思っていたらここまで引っ張ってしまった、朝森久弥の「マイベストブック」です。この記事では、2021年に読んだ本のうち、私の人生にとくに影響を及ぼした本を紹介します。
マンガ部門とマンガ以外部門に分けて発表します。
マンガ部門
二月の勝者 ―絶対合格の教室―
想像力から始まる教育談義の輪!
『二月の勝者』は、日本の(首都圏の)中学受験事情がよく分かることで早くから話題となっており、教育をライフワークとする私は「読まなければならない」という義務感に駆られていました。私は田舎県生まれで中学受験を経験しておらず、都内の国立大学の大学院に入って初めて中学受験の世界を見聞きしたくらいですから、「小学生なのに遊べなくてかわいそう……」くらいのイメージしか持っていなかったのです。ところがこのマンガを読んだ結果、何が人々を中学受験に駆り立てるのかを理解することができました。おそらく、幼少期の私がそのまま東京で生まれ育っていたら、中学受験に身を投じていた可能性が高いでしょう。そう考えると、このマンガに登場する人々の悲喜こもごもは、とても他人事だとは思えないのです。
ですが、『二月の勝者』の最推しポイントは、中学受験ノウハウの伝授ではありません。主人公の塾講師・黒木蔵人は、もう一人の主人公であり同僚(部下)の佐倉麻衣に対して、ある秘密を抱えています。その秘密の存在自体は物語の序盤からほのめかされてきましたが、秘密が明かされたのはそこから100話以上連載した後でした。詳しくはネタバレになるので避けますが、秘密が明かされた回を読んだとき、私は「作者はこの話が描きたくて『二月の勝者』の連載を始めたんじゃないか」と思い至ったのです。この話は、単体で読んでもそこまでのインパクトはなかったでしょう。けれども、いつまで連載が続くか確証がない中、100話以上の連載を重ねて中学受験指南マンガとして確固たる地位を確立した上で、満を持してこの話を出したからこそ、このマンガのメイン読者、すなわち中学受験が身近な人たちに深く刺さるものになったのです。
教育業界に限らないことですが、世の中には「ある情報を最も知ってほしい人に限って、その情報を届けるのが難しい」というジレンマがあります。“最も知ってほしい人”は大抵、その情報を意識する機会から最も離れた位置にいるからです。そのジレンマをどうクリアするかという一つの答えを、『二月の勝者』から学ぶことができました。
また、このマンガの登場人物はみな個性豊かで、それぞれ「こういう生い立ちだから、こう振舞うのだろうな」と納得させられる場面が満載です。どんな読者も、登場人物の誰かには感情移入できることでしょう。その上で「自分だったらどうしたかな、どう感じたかな」と考えてみてください。きっとそこから、子育てや教育を自分事として語る手がかりが得られるはずです。
マンガ以外部門
障がいのある人の性 支援ガイドブック
身近だったのに見落としていたことに気づかされた!
『障がいのある人の性 支援ガイドブック』の著者である坂爪慎吾氏は、重度の身体障碍を持つ人に対する射精介助サービスで知られる一般社団法人ホワイトハンズの代表理事です。私がホワイトハンズの射精介助サービスを知ったのは、確か2014年くらいのことでした。体が自由に動く人は、何らかの手段で自分の性欲を解消できるけれども、障碍を持つ人にはそれが難しい。障碍を持っているからと言って性欲がなくなるわけでもないので、確かに必要とされ得るサービスだよなと思ったものです。ただ、その時はそれきりでした。
それから約7年が経ち、コロナ禍で外出に制約がかかる中、私は自宅でできる活動として資格取得を思い立ちました。私は就職して以来しょっちゅう旅行に行っていましたが、学生時代は資格マニアに片足突っ込んでいたのです。せっかくなのでユニークな資格を取ろうと色々調べていたところ、『「障がい者の性」検定』に出会いました。これは、障碍を持つ人の性に関する支援の理論と方法を学ぶための検定で、先述したホワイトハンズが主催しています。
white-hands.jp私は、障碍を持つ人の性に関する支援の知識が、検定が行える程度に体系化されていること、また、非営利団体のマネタイズの方法として検定という手段が採られていることに興味を抱き、『「障がい者の性」検定』を受験することにしました。この検定は、ホワイトハンズから送られてくるテキストを読み込み、同封の検定問題を解いて回答を提出するという形式で行われました。このテキストのひとつが、『障がいのある人の性 支援ガイドブック』だったわけです。ちなみに、検定はふつうに受かりました。
『障がいのある人の性 支援ガイドブック』には、身体障碍だけでなく、知的障碍、精神障碍を持つ人が持つ性の悩みにいかに対応するかが、支援者の目線で書かれています。介護福祉士など福祉の仕事をする人にとっては、とくに実践的な内容でしょう。しかし、そこに貫かれている基本的な考え方は、障碍を持っているかにかかわらず誰もが大切にすべきことであり、いわゆる健常児を育てる保護者の方にも役に立つ内容だと感じました。
また、この本を読みながら私は、重度の身体障碍を持っている妹のことを思い返しました。妹は喋れないので何を思っているかは分からないのですが、彼女もきっと性について考えたことはあるはずなのです。私はそのことをこの本を読むまで意識しておらず、これまで随分、無遠慮に彼女に接してしまったと反省しました。身近に障碍を持つ人がいる私ですらこうなのですから、そうでない人にとって「障がい者の性」はまだ縁遠い概念なのでしょう。けれども、障碍を持つ人は決して少なくありませんし(日本では約13人に1人)、障碍を持つ可能性は誰にでもあります。身近な問題のひとつとして、私なりに広めていきたいです。
ノミネート作品
マイベストブック2021のノミネート作品は以下の通りでした。
(並び順が順位を表すわけではありません)
【マンガ部門】
・【推しの子】(集英社)
・二月の勝者 ―絶対合格の教室―(小学館)
・ブルーロック(講談社)
・魔女に捧げるトリック(講談社)
・トリリオンゲーム(小学館)
【マンガ以外部門】
・バッタを倒しにアフリカへ(光文社)
・ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち(光文社)
・障がいのある人の性 支援ガイドブック(中央法規)
・10分後にうんこが出ます ―排泄予知デバイス開発物語―(新潮社)
『【推しの子】』は有馬かなと黒川あかねのデッドヒートが目玉とされていますが、私は鳴嶋メルトの成長譚も正しく少年マンガしてて好きです。『魔女に捧げるトリック』は短期連載になってしまいましたが、ヘルガがめちゃくちゃカッコよかったです。
『バッタを倒しにアフリカへ』はポスドクの、『10分後にうんこが出ます』はスタートアップの奮闘記です。どちらも行くところまで行けば誇張なく世界を救う仕事ですが、その入り口に立ち会えたのはすごくラッキーでした。
今年も素晴らしい本に出会えますように。
2022年の抱負。
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
毎年恒例の「今年の抱負」です。まず去年の抱負を振り返ってから、今年の抱負を発表します。
2021年の抱負を振り返り。
全体スローガン:メディアミックスで広がる世界
「ゲーム制作」:『アマゲチッタ!!』第2弾リリース
⇒できました。『アマゲチッタ!!』シリーズ第2弾として、12月30日(新コミックマーケット99開催日)に『アマゲチッタ!!2 未完のオタクアイランド』をリリースしました。前段階として5月に出したクイズゲーム『オタク年齢診断』がとんでもない勢いでバズったため、『オタク年齢診断』の世界観を下敷きに、腰を据えて遊べるクイズゲームを作りました。また、同人誌『教科書 日本オタク文化』に準拠したクイズゲームとして第1弾以上に結びつきを強めたことが功を奏し、『教科書 日本オタク文化』を改めて多くの人に買っていただくことができました。
「日本オタク文化」:『教科書 日本オタク文化』授業動画の公開
⇒できています。2021年5月からYouTubeのCURIOSIST公式チャンネルで、週1~2ペースで『教科書 日本オタク文化』の授業動画である『イチから学ぶ日本オタク文化』を公開しています。2021年12月末までに公開した授業動画は41本ですが、最終的には約130本に達する予定で、CURIOSIST公式チャンネルにおいて息の長いコンテンツになりそうです。
「教育データバンク」:note(朝森教育データバンク)の継続的更新と『進学校Map』三訂版刊行
⇒できました。note(朝森教育データバンク)では2021年の1年間で33記事を公開し、2020年の1年間に比べて約7倍のPVを集めました。進学校の話題を中心としつつも、『戦前日本の学校制度を大雑把に解説する』など、学校教育を幅広く論じる手ごたえを得ました。同人誌『進学校Map 三訂版』は、vol.1として中国・四国・九州編を5月に、vol.2として中部・関西編を12月に刊行し、まだ印刷費は回収できていないものの、改訂前に劣らない規模の人に買っていただいています。
2022年の抱負!
【全体スローガン】
“教育系”教育系VTuberの第一人者になる
CURIOSISTは知る楽しさを提供するコンテンツを創作するために立ち上げた同人サークルですから、その活動は必然的に教育に結びつきます。私はVTuberブームの波に乗り、2021年7月に教育系VTuberになりました。私の定義によれば、教育系VTuberは知識伝授を主目的として活動するVTuberを指します。私の得意分野は学校教育情報ですから、教育系の知識伝授をする教育系VTuber、さしずめ“教育系”教育系VTuberと自称すればよいでしょうか。
また、教育系VTuberという存在そのものにも大きな可能性を抱いています。2021年7月に雪月うさぎ先生を知ったことを皮切りに、教育系VTuberの活動実態を調査したところ(こういう概括的な調査は得意なのです)、すでに100を超える教育系VTuberが日本語圏を中心に活動していることを見出しました。
note.com2022年1月現在、教育系VTuberはまだ黎明期と言って差し支えありません。ですが、私が長年手がけてきた日本オタク文化の分析に基づけば、VTuber、中でも教育系VTuberはこれから一層成長する業界だと確信しています。そこで、今の段階から“教育系VTuberを大いに盛り上げ隊”の先頭に立ち、自分自身も教育系VTuberとして成長していくことで、“教育系”教育系VTuberの第一人者になれるという魂胆があります。具体的には……
「ゲーム制作」:教育系VTuberが出演するクイズゲームをリリース
⇒教育系VTuberは「講義」や「解説」と称して知識を発信するコンテンツを盛んに出していますが、そうした知識を定着させるコンテンツは乏しいように思います。学校では学んだことを身に着けるために、授業を受けるだけでなく、問題集を解いていますよね。私には、ここでいう「問題集」を作るノウハウがあります。そう、18年近く続けてきたクイズゲーム作りです。
将来的には、教育系VTuberひとりひとりの「講義」や「解説」に準拠したクイズゲームが作れるとよいですが、まずは教育系VTuberとクイズゲームを結びつけるため、教育系VTuberが得意ジャンルのクイズを繰り出す体裁のクイズゲームを作ります。学問系・実用系・娯楽系など、さまざまなジャンルの教育系VTuberの方々にご協力いただければ、数多くの教育系VTuberが出演するオールジャンル型クイズゲームの制作も夢ではありません。
「日本オタク文化」:『イチから学ぶ日本オタク文化』の継続的公開
⇒2021年に引き続き、教育系VTuberの相田知広と協力して動画授業『イチから学ぶ日本オタク文化』を公開していきます。相田知広がスムーズに授業できるように、授業のスライドを作り上げていかねばなりません。概ね週に1回のペースで、年間合計40~50本の動画を公開します。
「教育データバンク」:『進学校Map 三訂版』の全都道府県達成と、進学校Map以外の教育情報コンテンツの継続的公開
⇒まず、2022年8月をめどに『進学校Map 三訂版 vol.3[北海道・東北・関東編]』を刊行し、『進学校Map 三訂版』の全都道府県制覇を達成します。note(朝森教育データバンク)およびCURIOSIST公式チャンネルでも、『進学校Map 三訂版』に基づいた情報発信を行います。
進学校Map以外でも、学校教育に軸を置いた幅広い対象のコンテンツを展開することで、「さすが“教育系”教育系VTuberを自称するだけのことはあるね」と言われる程度の存在を目指します。日本の子供たちがよく目にするメディア(とくにYouTube)の教育系コンテンツが塾・予備校が発信するものに偏っている現状に危機感を抱いており、利害関係を持たずに趣味でやっているからこそできる率直な情報発信で、一人でも多くの人の人生の選択肢を増やしていきます。
あと、私事ではありますが、以前から目指しているJAXA宇宙飛行士の候補者選抜が2022年から実施されるため、これを受験する準備を同人活動と並行して進めています。1月末に行われる応募前の健康診断をパスすれば応募資格を満たし、かなり忙しい1年となりますが、その先にある未来を見据えて励んでいきます。
今年もよろしくお願いします。
新コミックマーケット99(在宅)サークル参加情報
こんにちは、朝森久弥です。
同人サークルCURIOSISTは、2021年12月30日・31日に開催される新コミックマーケット99に家でサークル参加します。
「家でサークル参加?どういうこと?」という話ですが、会場である東京ビッグサイトには行かず、家で作品を頒布・公開するということです。実際にサークル参加申し込みはしていません。
今回のコミックマーケットは一般参加者も事前に参加チケットを購入する必要があるなど、さまざまな制約が設けられています。このため、2020年5月、2020年12月、2021年5月に開催されたエアコミケと同様、作品をオンラインで頒布・公開するのが、最も多くの人にCURIOSISTの作品を届けられると考え、このような措置を取らせていただきました。
このため、新コミックマーケット99のWebカタログを見てもCURIOSISTのサークル参加情報は載っていません。この記事やサークル公式サイト、朝森久弥のTwitterなどをご参照いただくようお願いします。
おしながきは、以下の通りです。
CURIOSISTが新コミックマーケット99で出す新作は、次の2点です。
◎評論同人誌『進学校Map 三訂版 vol.2[中部・関西編]』
◎クイズゲーム『アマゲチッタ!!2 未完のオタクアイランド』
『進学校Map 三訂版 vol.2[中部・関西編]』は、朝森久弥が長らく手がけている進学校Mapの書籍版で、三訂版ではvol.1[中国・四国・九州編]に続く2冊目です。
www.youtube.comメロンブックス通販とBOOTH通販で買うことができます。頒布開始日は12月31日のため、それまでは予約を受け付ける形となります。
もしかするとメロンブックスの一部の店舗で販売されるかもしれませんが、基本的には通販を考えておけば間違いないと思います。
委託手数料の都合で、メロンブックスでは1980円、BOOTHでは1550円と頒布価格が異なります。送料などの兼ね合いでどちらがお得かはケースバイケースですが、都合の良い方でお買い求めください。
www.melonbooks.co.jpcuriosist.booth.pm
また、2021年5月に頒布開始した既刊『進学校Map 三訂版 vol.1[中国・四国・九州編]は、メロンブックスとBOOTHで引き続き通販していますので、vol.2と併せてお買い求めくださいませ。
www.melonbooks.co.jpcuriosist.booth.pm
『アマゲチッタ!!2 未完のオタクアイランド』は、CURIOSISTの伝統芸能であるクイズゲームの記念すべき20作目です。ROM版(有料)の頒布予定はなく、最初からWebで無料公開します。
上のPVで紹介している通り、オタク知識でバトルするRPG風クイズゲームです。大阪湾に現れたテーマパーク型博物館「オタクアイランド」で、アニメ・マンガ・ゲームなどにまつわる幅広い年代(戦前~2021年11月)のクイズを解いていきます。
Webで公開と言いましたが、具体的にはゲームアツマールとふりーむ!で公開予定です。新コミックマーケット99が始まる12月30日のできる限り早い時間帯に公開したいと考えています。ゲームアツマールではブラウザ版、ふりーむ!ではダウンロード版として公開を検討していますが、いずれにせよスマートフォン・パソコンの両方で遊べるようにします。ゲーム実況(実況プレイ)も大歓迎です。
『アマゲチッタ!!2 未完のオタクアイランド』は最後まで無料で遊べますが、このゲームに収録するクイズのネタ本となった『教科書 日本オタク文化』(上巻・下巻)をメロンブックスで通販しているので、ゲームを買う代わりにと言ってはなんですが、お買い求めくださるとうれしいです。
www.melonbooks.co.jpwww.melonbooks.co.jp
ほかにも、BOOTHで過去に頒布したゲームのROM版や同人誌を通販していたり、WebでCURIOSISTのゲームが無料で遊べたりするので、それらも併せてお楽しみください。とくに『オタク年齢診断』はCURIOSISTでは空前絶後のヒット作となっています。
curiosist.booth.pmgame.nicovideo.jp
会場で参加する方も家で参加する方も、みんなで楽しいコミケにしていきましょう!
夏のメガ超同人祭サークル参加情報
同人サークルCURIOSISTは、2021年8月21日・22日にメロンブックスで開催されるイベント「夏のメガ超同人祭」にサークル参加します。
夏のメガ超同人祭は、同人誌即売会の体裁をしたメロンブックスの販促イベントです。リアル会場(店舗)とエアイベント会場(特設通販ページ)の2ヶ所で各サークルの創作物を買うことができます。会計をするのはあくまでメロンブックスで、会場に私はいません。
イベントの詳細は以下のページもご参照ください。
CURIOSISTは夏のメガ超同人祭で、以下3点の同人誌を頒布します。
・『教科書 日本オタク文化 上巻』990円(税込)
・『教科書 日本オタク文化 下巻』1320円(税込)
・『進学校Map 三訂版 vol.1[中国・四国・九州編]』1430円(税込)
作品の内容の詳細は、上にそれぞれ貼り付けたメロンブックスのページをご覧いただきたいのですが、これらはあくまで通常通販のページであることに注意してください。夏のメガ超同人祭では特別に、通常通販よりも作品の価格を安くしています。
通常通販価格→夏のメガ超同人祭価格
『教科書 日本オタク文化 上巻』1,100円→990円
『教科書 日本オタク文化 下巻』1,650円→1,320円
『進学校Map 三訂版 vol.1[中国・四国・九州編]』1,815円→1,430円
夏のメガ超同人祭は、リアル会場とエアイベント会場の2ヶ所で開催すると言いました。
リアル会場で買いたい人は、8月21日・22日の11時~20時にメロンブックス秋葉原店5Fのイベントスペースに行ってください。CURIOSISTは「祭29」に配置されています。具体的な位置は、次のページの「2回目」を開いて見つけてください。
メロンブックスの担当の方には、次のようなポスターをCURIOSISTのサークルスペースに掲げてもらうよう依頼しています。
エアイベント会場で買いたい人は、8月21日・22日の11時~23時59分に、エアイベント会場の特設サイトにアクセスし、CURIOSISTのページを探してください。エアイベント会場の特設サイトは、開催時間になったら夏のメガ超同人祭トップページからアクセスできるはずです。
エアイベント会場で購入した場合の送料も通常通販とは異なり、メール便なら297円(税込)とのことなので、大体の場合で通常通販で買うよりお得だと思われます。
この記事の上に貼り付けた各作品の内容紹介ページは、あくまで通常通販用のページなので、夏のメガ超同人祭の特別価格で買いたい人は、エアイベント会場の特設サイト経由で購入するようにしてください。
このイベントの趣旨は、今年の夏にコミックマーケットが開かれない代わりに、サークルに新刊を発行する機会を提供するというものです。しかし、CURIOSISTが今回出す同人誌はすべて既刊です。それでも参加するのは、秋葉原というオタクの聖地で『教科書 日本オタク文化』が売っているのを見たら、興味を持つ人がいるかもしれないと思ったからです。
どうぞこの機会に、CURIOSISTの同人誌をお買い求めくださいませ。
選挙情勢報道は当たるのか? ~都議選2021を例に~
2021年7月4日、東京都議会議員選挙の投票・開票が行われました。
東京都内の有権者の皆さま、お疲れ様でした。
108ある趣味のうち「選挙」がトップ10に入る私は、当然、都議選にも告示前から開票まで注目し続けていました。世間の予想を結構外してくる結果になりましたね…。
さて、日本の選挙では一般的に、投票日前に情勢報道なるものが行われます。これは、新聞社などが有権者に世論調査を行い、その結果からどの候補が当選に近いかを報道するものです。公職選挙法138条で選挙での「人気投票の公表」が禁止されている関係で、明確な数字ではなく、「優勢」や「追いかける」といったあいまいな言葉で優劣を表現する習わしになっています。
ただ、そうした言葉遣いには一定の傾向があり、言葉遣いをつぶさに見ると、世論調査の結果が透けて見えることが知られています。このあたりの詳細は三春充希氏の『武器としての世論調査』第九章をご参照ください。
今回の都議選で選挙区ごとに情勢報道を行ったのは、毎日新聞だけでした。この結果は三春充希氏がnoteにまとめています。
私は入れるかどうか悩む候補が2人いたので、この情勢報道を見て、より当選が危うそうと思われる方に投票しました。実際は、私が投票しなかった方が、投票した方よりも順位が低かったのですが…。
もちろん、情勢報道はあくまで選挙当日より前の世論調査によるので、統計の揺れもありますし、世論調査後の情勢次第では結果が変わることがあります。そこで、今回の毎日新聞の情勢報道がどれだけ当たっていたのか、あるいは実際の結果とどのように食い違っていたのかを検証してみようと思います。
検証方法
三春充希氏のnoteにまとめられた毎日新聞の情勢報道結果を読み、立候補者を次の5パターンに分類します。
私は教育クラスタ(より正確には大学受験クラスタ)でもあるので、大学入試模試風にしてみました。
A判定:安全圏。情勢報道で定員内に入っていて、かつ三春氏による分類で「B+」以上の情勢表現が使われている候補。
B判定:当選圏。A判定ではないが、情勢報道で定員内に入った候補。
C判定:可能圏。同じ選挙区のB判定の候補と同一の情勢表現が使われているが、定員外の候補。
D判定:努力圏。情勢報道で名前は挙がったものの定員外で、C判定でもない候補。
E判定:情勢報道で名前自体が挙がらなかった候補。
たとえば台東区の場合を見てみましょう。
都議選・台東区の情勢報道です。上位2人が当選する選挙区です。 pic.twitter.com/HTyA3ITlam
— 三春充希(はる)⭐2021衆院選情報部 (@miraisyakai) 2021年6月30日
1番目に名前が掲載され、「一歩リード(支持固め)」と表現された鈴木候補をA判定としました。2~4番目の中山・保坂・小柳候補はいずれも「激しく競り・追う」という同一の表現ですが、2番目に名前が掲載され、定員内に入っている中山候補をB判定とし、保坂候補と小柳候補をC判定としました。定員外で「苦戦」と表現されている柴田候補はD判定、名前自体が挙がらなかった武田候補・津村候補はE判定としました。
この判定と、実際の選挙結果を比較して、判定別の候補者の当選率を比較しました。
検証結果
都議選の全42選挙区271人の候補を分類すると、次のようになりました。なお、政党名の略称はNHKの開票速報に合わせています。また、無投票で当選が決まった小平市の2候補はA判定に分類しました。
もし、情勢報道が100%的中したとしたら、A判定とB判定の候補が当選することになります。そうすると、
都民:16議席
自民:50議席
公明:17議席
共産:21議席
立民:18議席
維新:1議席
ネット:2議席
無所属・他:2議席
となっていました。
これは、選挙前に報道されていた「自公で過半数超の見込み」とも合致するものです。
しかし現実はそうならず、A判定とB判定の候補から落選者が、C判定とD判定の候補から当選者が相次ぎました。
全体で見ると、
A判定:45候補のうち、36候補が当選(当選率80%)
B判定:82候補のうち、62候補が当選(当選率76%)
C判定:26候補のうち、15候補が当選(当選率58%)
D判定:55候補のうち、14候補が当選(当選率25%)
E判定:63候補のうち、0候補が当選(当選率0%)
となりました。
A判定とB判定の差が微妙ですが、判定が良いほど当選率が高い傾向にあるのは確かなようです。また、E判定の候補は全員落選していることから、当選の目がない候補を見抜く程度の信憑性はあると考えられます(無所属でまったく無名ならともかく、国政政党候補にもE判定を出しているのはさすがですね)。
政党別の情勢
判定が良いほど当選率が高い傾向と言いましたが、実際には政党によってバラツキがあります。具体的には、都民ファーストの会(都民)と公明党(公明)は不利な判定を覆して逆転当選した候補が多く、自由民主党(自民)は有利な判定だったがまさかの落選を喫した候補が多かったのです。このあたりを詳しく見てみましょう。
都民ファーストの会(都民)
判定別の当選率は次の通りでした。
A判定:1候補のうち、1候補が当選(当選率100%)
B判定:15候補のうち、12候補が当選(当選率80%)
C判定:11候補のうち、9候補が当選(当選率82%)
D判定:17候補のうち、9候補が当選(当選率53%)
E判定:3候補のうち、0候補が当選(当選率0%)
C判定とD判定からの当選率が、全体よりも高くなりました。毎日新聞の情勢報道は6月29日に発表されましたから、その後から投票日の7月4日にかけて勢いが増したことが見て取れます。
また、A~D判定だった44候補のうち、情勢報道に比べて投票結果での順位が上がったのは26候補、変わらずだったのが13候補、下がったのは5候補でした。上がった候補にはB~D判定の候補がまんべんなく含まれており、党全体の勢いが底上げされた結果となりました。
自由民主党(自民)
判定別の当選率は次の通りでした。
A判定:27候補のうち、18候補が当選(当選率67%)
B判定:23候補のうち、14候補が当選(当選率61%)
C判定:3候補のうち、0候補が当選(当選率0%)
D判定:6候補のうち、1候補が当選(当選率17%)
E判定:1候補のうち、0候補が当選(当選率0%)
すべての判定の当選率が、全体の当選率以下になりました。D判定からの逆転当選は1人だけあったものの(八王子市の西山候補)、その他は全体的に勢いが落ち込み、A判定・B判定だった候補が次々と落選しました。
A~D判定(無投票を除く)だった58候補のうち、情勢報道に比べて投票結果での順位が上がったのは5候補、変わらずだったのが13候補、下がったのは40候補でした。情勢報道ではA判定で1位だったのに、6位でギリギリ当選したり5位で落選したりした事例もありました。
公明党(公明)
判定別の当選率は次の通りでした。
A判定:8候補のうち、8候補が当選(当選率100%)
B判定:9候補のうち、9候補が当選(当選率100%)
C判定:5候補のうち、5候補が当選(当選率100%)
D判定:1候補のうち、1候補が当選(当選率100%)
奇跡ですね。実際、公明党代表の山口氏も奇跡的と表現しています。日経新聞の記事の写真を見ると、「落選者が出ることを真剣に覚悟していたが、全員当選で安堵した」感が現れています。
www.nikkei.com23候補のうち、情勢報道に比べて投票結果での順位が上がったのは12候補、変わらずだったのが7候補、下がったのは4候補でした。ここでポイントなのは、C判定・D判定の候補は全員順位を上げたのに対し(当選したのだから当然ですね)、下がった候補は全員B判定だったことです。つまり、公明党は限られたリソースを劣勢だった候補に的確に割り振り、情勢報道後の追い上げに成功したことを示しています。
日本共産党(共産)
判定別の当選率は次の通りでした。
A判定:3候補のうち、3候補が当選(当選率100%)
B判定:18候補のうち、16候補が当選(当選率89%)
C判定:3候補のうち、0候補が当選(当選率0%)
D判定:7候補のうち、0候補が当選(当選率0%)
当選者はA判定・B判定からしか出ていません。劣勢であっても逆転当選を目指す公明党とは異なり、言い方は悪いですが、“立候補することに意義がある”候補がはっきりしているのが特徴と言えます。逆に、勝てる候補は確実に勝ちに行く感じです。B判定で落選した2候補は、それぞれ354票差、6票差という僅差でした。
31候補のうち、情勢報道に比べて投票結果での順位が上がったのは8候補、変わらずだったのが17候補、下がったのは7候補でした。
立憲民主党(立民)
判定別の当選率は次の通りでした。
A判定:6候補のうち、6候補が当選(当選率100%)
B判定:12候補のうち、7候補が当選(当選率58%)
C判定:2候補のうち、1候補が当選(当選率50%)
D判定:8候補のうち、1候補が当選(当選率13%)
逆転当選があった一方で、B判定での当選率が比較的低く、取りこぼしが起きています。党全体として、情勢報道以降に勢いが増したとは言い難いでしょう。
27候補(無投票を除く)のうち、情勢報道に比べて投票結果での順位が上がったのは5候補、変わらずだったのが11候補、下がったのは11候補でした。
その他の政党・無所属候補
日本維新の会(維新)から1人、東京・生活者ネットワークから1人、無所属候補から24人当選者が出ていました。この4人は全員B判定でした。C判定以下の候補は全員落選しており、逆転当選はありませんでした。6人のうち4人はB判定、2人はD判定からの逆転当選です。逆転当選した2人のうち、品川区の森沢候補は2019年まで都民ファーストの会に所属しており、小金井市の漢人候補は共産・立民などが推薦したいわゆる野党統一候補でした。
まとめ
今回の毎日新聞の情勢報道に限れば、大まかな傾向をつかむ上で、情勢報道には一定の信憑性があると考えられます。もっとも、情勢報道から実際の投票日までの間に情勢は変わり得て、A判定でも2割が落選し、D判定でも4分の1が当選していることから(大学入試模試と似ていますね)、D判定以上なら、逆転当選を狙う意義は大いにあると言えます。情勢報道が出た時点で当落が決まっているとは意外と言い切れず、だからこそ、各陣営は最後の最後まで選挙運動に真剣に打ち込んでいるのでしょう。
情勢報道の是非は色々論じられていますが、各陣営の選挙運動にはもちろん、有権者が投票先を戦略的に選ぶ上で貴重な情報であり、これからも必要とされ続ける情報だと思います。
更新情報
(2021年7月7日)コメントにて「品川区民」さんからご指摘いただいた通り、無所属候補に関する記述に誤りがありましたので修正しました。修正前の記述は打消し線、修正後の記述には下線を引いてあります。ご指摘に感謝するとともに、不正確な記述をして申し訳ありませんでした。
マイベストブック2020
毎年年始恒例となっている朝森久弥の「マイベストブック」。この記事では、2020年に読んだ本のうち、私の人生に特に影響を及ぼした本を紹介します。
マンガ部門とマンガ以外部門に分けて発表します。
マンガ部門
2.5次元の誘惑(リリサ)
好きなものを好きで居続ける若人の生き様!
率直に言うと、このマンガの連載がジャンプ+で始まった当初は「まーた量産型エロコメが始まったか」と手を出さずじまいでした。絵柄はドストライクなんですが、この手のマンガは周囲に隠れて読むもので、バレたらなんか気恥ずかしい…みたいな思春期男子ムーブを発動していたのです。それでも、pixivコミックで無料公開されていたのを軽い気持ちで読み進めてみたら、まんまとハマってしまいました。まず、幼なじみヒロイン・美花莉がめっちゃ健気!そして主人公・奥村のオタク強度高すぎ!このマンガにおけるお色気要素はあくまでスパイスで、コスプレに打ち込むオタクたちの熱血青春譚は、一周回って少年ジャンプの王道展開そのものです。
…ここまでの経緯は多くの『2.5次元の誘惑』ファンがたどってきた道筋だと思いますが、私個別の推しを挙げると、やはりコスプレーヤー753(なごみ)ですね。753はコスプレが好きすぎてコスプレを仕事にした女子で、好きを仕事にした人間ならではの苦しみを味わい思い悩みます。彼女がヒロイン・リリサのリリエルに出会って自分を取り戻す流れは激熱なんですけども、その節々に現れる753のプロ根性、そしてコスプレに愛を注ぐさまが、私たちが大切にしたい何かを呼び起こしてくれるのです。好きなものを好きで居続けるのは簡単なことではないかもしれないけど、一生を賭して挑む価値があるものだということを。
このマンガの題材は「コスプレ」であり、著者がこの題材を扱えるだけのオタク(ここでは、日本オタク文化の愛好者という意味)に対する造詣の深さを有していることは、少し読めばすぐわかることです。私たちオタク(とくに2021年現在アラサーあたりの)が経験してきたであろうこと、感情をことごとく拾い上げ、それらへのメッセージを説教臭くなく発信する構成力の高さには脱帽せざるを得ません。私は2020年に『教科書 日本オタク文化』という同人誌を書きましたが、その私が断言します。『2.5次元の誘惑』もまた、日本オタク文化の教科書です!
マンガ以外部門
教育格差
返り血を浴びる大人の覚悟!
2019年に引き続き、ちくま新書からの受賞となりました。筑摩書房はこういう骨太な本を(価格の高い単行本ではなく)新書として出してくるから本当にありがたいです。この本の本編は約330ページありますが、「註記」と「引用文献」がそれぞれ20ページ以上あります。体裁がほぼ学術論文なんですね。ともすれば週刊誌が飛びつくような煽りやすいテーマを扱いながら、あくまで研究成果の公表に徹する著者の研究者としての誠実さが現れています。
幾重にも積み重ねられた調査結果を根拠に著者が訴えるのは、「戦後日本は、“生まれ”による教育機会の格差が存在し続けている緩やかな“身分社会”である」という事実です。親の学歴や生まれ育った地域によって、学力・学歴獲得の有利不利が存在する―朝森教育データバンクを読んでいるような人なら知識として知っていると思いますが、世間的には、さらに教員免許を取得する教師の間でも自明ではない現状に、著者は警鐘を鳴らしています。白眉なのは、たとえ(入試による選抜がない)公立小・中学校どうしであっても、その教育環境に強烈な格差があることを明らかにしたことです。進学校クラスタは、しばしば「公立vs私立」という構図で議論を展開しがちですが、そもそも公立の中でも一括りにはできないことを自覚しなければならないと耳が痛い思いでした。
著者は、日本に横たわる教育格差をどうにかしたいという想いで教育社会学を究めているけれども、それを(格差社会の勝ち組が集う)大学で説くことは、教育格差を強化することでもあるのではないかと煩悶しています。ですが彼は、返り血を浴びてでもその研究・教育を続ける道を選びました。同様の葛藤は、啓蒙をライフワークにしている私も持っていて、一足飛びに社会を変える処方箋がないことに打ちひしがれる日々ではありますが、「それでもやり続けるしかないよね」という著者の情熱に勇気づけられました。この本は、格差の存在に絶望するための本ではなくて、社会の、人間の可能性を諦めないための本なのです。
ノミネート作品
マイベストブック2020のノミネート作品は以下の通りでした。
(並び順が順位を表すわけではありません)
【マンガ部門】
・二月の勝者(小学館)
・トナリはなにを食う人ぞ(白泉社)
・【推しの子】(集英社)
【マンガ以外部門】
・平成オタク30年史(新紀元社)
・ねじ子が精神疾患に出会ったときに考えていることをまとめてみた(照林社)
・男が痴漢になる理由(イースト・プレス)
・100分 de 名著 ブルデュー『ディスタンクシオン』(NHK出版)
・教育格差(筑摩書房)
『トナリはなにを食う人ぞ』は自炊好きカップル同棲ラブコメで、ヒロイン・稲葉さんが美味しそうに食べている顔が本当にかわいいです。『恋愛ラボ』は完結おめでとうございます!エノが報われて本当に良かった……!
『平成オタク30年史』はその名の通りの本で、拙著『教科書 日本オタク文化』の執筆時に大いに参考にさせていただきました。『ディスタンクシオン』は2020年末にTwitterの教育クラスタが話題にしているのを見つけてまさに自分のための本だと思いました。これが500円台で出版できてしまうNHKは本当にすごいですね…『教育格差』と併せて読むことをおすすめします。
今年も素晴らしい本に出会えますように。
2021年の抱負。
明けましておめでとうございます。朝森久弥です。
毎年恒例の「今年の抱負」です。去年の抱負を振り返り、今年の抱負を発表します。
2020年の抱負を振り返り。
全体スローガン:常識は私が作る
「ゲーム制作」:『アマゲチッタ!!』第2弾リリース
⇒できませんでした。『アマゲチッタ!!』は『教科書 日本オタク文化』に準拠したクイズゲームという位置づけなので、『教科書 日本オタク文化』が完成しないとクイズの内容・配置が決まりません(2019年に出した第1弾は、実質プロトタイプです)。2020年は『教科書 日本オタク文化』を書き上げるのに精いっぱいで、『アマゲチッタ!!』第2弾の完成までこぎつけられませんでした。ただ、水面下で制作作業は進めています。
⇒できました。2020年5月に『上巻』、2020年12月に『下巻』を、それぞれメロンブックスで委託販売しました。リアルコミケでの頒布ができなかったにもかかわらず、多くの人に手に取ってもらうことができ、このコンテンツの将来性に期待を持ちました。これを機に、日本オタク文化の常識が日本に住む大勢の人に浸透することを願っています。
「教育データバンク」:『進学校Map』改訂作業と外部サイトの継続的運用
⇒それなりにできました。『進学校Map』三訂版の執筆に先立ち、日本全国の進学校(候補)の公式サイトをチェックし、2020年春の大学合格実績を収集しました。また、その結果を参考にした記事を、noteで随時公開しました。2020年の1年間で12県の進学校Mapの記事を公開しており、これらはいずれ同人誌に収録して刊行する予定です。
2021年の抱負!
全体スローガン:メディアミックスで広がる世界
いま、米国発のYouTubeが動画共有サービスの覇権を握り、日本を含む全世界で流行の発信地になっていることは明らかです。一方、日本発のWebサービスであるnoteが、文章を中心としたコンテンツの集積地として注目を集めつつあります。私は、まだスマホを使い始めてから1年弱しか経っておらず、世間の情報収集方法の変化について戸惑いを隠せないところがありましたが、ようやく慣れてきたところです。
私のクリエイターの矜持として、「まずコンテンツありき」という信念があります。魅力的なコンテンツに触れたいがゆえに、それを叶えるメディアを使うようになる。一方、それぞれのメディアにはそれぞれのユーザーがいて、そこに持っていくことで、新たな出会いがあることも歴史が証明しています。
私は2015年にCURIOSIST三本柱を掲げ、それぞれある程度のコンテンツを築くことができました。あとはそれをどう広げていくか、そういう局面に入っていると思います。具体的には……
「ゲーム制作」:『アマゲチッタ!!』第2弾リリース
⇒2020年の抱負の焼き直しに見えますが、同人誌『教科書 日本オタク文化』をクイズゲームという形で楽しんでもらうというメディアミックス戦略と位置付けています。教科書を書き上げたことで私の中に構築された日本オタク文化の知識体系を活かして、より多くの人に楽しみと役立ちをお届けするクイズゲームに進化させます。
「日本オタク文化」:『教科書 日本オタク文化』授業動画の公開
⇒YouTubeで、拙著『教科書 日本オタク文化』を用いた授業動画を投稿します。同人誌の動画化というメディアミックス戦略の一環です。
www.youtube.com実は、同人サークルCURIOSISTはYouTubeに公式チャンネルを持っています(この機会にチャンネル登録お願いします!)。これまではあまり活発に投稿していませんでしたが、『教科書 日本オタク文化』を書き上げたいま、これを使えば、かなりの数の動画が投稿できるし、しかも希少性が高いことに気づきました。これだけにかかりきりになることはありませんが、継続的に投稿していく次第です。
「教育データバンク」:note(朝森教育データバンク)の継続的更新と『進学校Map』三訂版刊行
⇒2020年に引き続き、noteで『進学校Map』(三訂版)を都道府県別に更新します。また、ある程度記事を投稿した所で、記事を編集して紙の同人誌として刊行します。いま、Boothで通販している『進学校Map』(改訂版)はとても簡素なコピー本なので、せっかくお金を出していただく人のために、きちんと製本したフルカラーの冊子にしたいですね。おそらく、「西日本(九州沖縄・四国・中国)」「中日本(関西・中部)」「東日本(関東・東北・北海道)」の3分冊になる見込みです。
これについては「メディアミックスなのか?」という話ですが、まず原作であるところの『進学校Map』(三訂版)を完成させるのが先決で、完成させれば『教科書 日本オタク文化』と同様の展開が期待できます。もっと言うと、私がふだんからTwitterで進学校談義しているのは、『進学校Map』のメディアミックスという考え方もできますね。
私は意外と(?)人の目を気にする性質があって、世間で大勢の人が盛り上がっていることに盛り上がれない自分が恥ずかしいと思うことがあるんですが、こうして自らの営みを振り返ってみると、自分で盛り上がれるもの持ってるんだから別に恥ずかしがることなくない?というか、もう手遅れだよねと改めて思いました。当分の間、通勤時間が大幅に削減されるわけですし、体には気を遣いつつ、精力的に同人活動に励んでいきたいと思います。
今年もよろしくお願いします。